自費で保険外の白い歯にする場合、主にセラミックかジルコニア、ハイブリッドの3種類があります。
ジルコニアというのはセラミックの一種ですが、ジルコニウムからできていて、強度と硬度が高い材料です。
ハイブリッドというのは、セラミックの粉に樹脂(レジン)を混ぜたものです。
セラミックとジルコニアは歯のエナメル質より硬い
セラミックの包丁やハサミは切れ味がなかなか落ちないくらい硬いです。
ジルコニアはさらに硬いです。
どれくらい硬さ(ビッカース硬度)があるのかと言うと
- ジルコニア…1100〜1300
- セラミック…420〜775
- 歯のエナメル質…300
- ハイブリッド…100〜190
- 銀歯(保健適用)…150
製品により差がありますが、おおよそセラミックはエナメル質の約2倍、ジルコニアは約4倍近くも硬いのです!
硬い方が傷が付きにくく、いつまでも綺麗な色と艶が保てるなど、メリットもあります。
硬さの異なる物質同士がぶつかると…
ご存知の通り、硬度が異なる物質がぶつかると柔らかい方が摩耗していきます。
歯も同じで、噛むと上下の歯がぶつかるため、柔らかい方の歯がすり減ります。
セラミックやジルコニアの歯を入れた場合、反対側も同じ材料なら良いのですが、天然の歯や銀歯,ハイブリッドの場合は速いスピードですり減っていくのです。
上下の歯と歯があたる時間は1日たったの15分!?
噛んだりした時に、上下の歯と歯があたる時間は、正常な人で1日15分くらいです。
意外に思われるかもしれませんが、食事している時は食べ物を挟んでいるので歯と歯が直接あたることは少ないのです。
なので、歯ぎしりや食いしばりが無ければ、歯の摩耗をそこまで気にする必要はありません。
ところが、普段から歯ぎしりや食いしばりのある人は、1日に数時間〜10時間以上も歯と歯があたっています。
そんな人が、セラミックやジルコニアの歯を入れたらどうなるのでしょうか…
歯ぎしり,食いしばり があると硬い被せ物が歯を削る凶器となる!?
歯ぎしりや食いしばりがあると歯がすり減ります。
もし上か下かのどちらかの歯だけセラミックやジルコニアの歯にした場合、噛んだ時にあたる歯だけが2倍すり減り減っていきます。
そうなると、歯がしみて痛む原因になったり、かみ合わせのバランスが狂って歯や被せ物が割れる原因にもなってしまいます。
被せ物で歯が削れないための対策
まずは歯ぎしりや食いしばりがあれば、かかりつけの歯医者さんと相談して治しましょう。
もし、歯ぎしり食いしばりがあるのに、すでにセラミックやジルコニアの被せ物をしてしまっている場合は、歯科医院でマウスピースを作って歯を保護することが出来ます。
また、歯ぎしり食いしばりが無くても、20年30年経つと歯が自然にすり減っていきます。
この場合は歯医者さんで定期検診を受け、必要であればセラミック,ジルコニアの被せ物の噛み合わせの調整(咬合調整)を受ければ大丈夫です。
参考文献: 新谷明喜 「まてりあ」 第49巻 第 4 号(2010)