現在、うがい薬がコロナに効果がある?という話でイソジンなどのヨード系のうがい薬が品薄となっています。
はたしてヨード系のうがい薬にどれほどの効果があるのか、学術的な調査をした論文から調べてみました。
うがい薬の効果についてはあまり研究がされていない
うがい薬についての論文はとても少ないです。
というのも、外国ではうがいをする習慣があまりないので、今まで研究されてこなかったのです。
ヨード系うがい薬でウイルス感染を防げるのか?
風邪(感冒症状)はコロナウイルス(新型ではないもの)をはじめ、さまざまなウイルスの感染で起こります。
2002年〜2003年にかけて全国18の地域で、18〜65歳の男女387人に行われた実験で
- 水道水でうがい
- ヨード系のうがい薬でうがい
- うがい無し
の3グループに分けて、どのくらいの人が風邪をひいたか調べた論文があります。
2ヶ月間でどれだけ風邪をひいたかというと
- 水道水でうがい→17%が風邪をひいた
- ヨード系のうがい薬でうがい→24%が風邪をひいた
- うがいなし→26%が風邪をひいた
なんと、ヨード系のうがい薬でうがいしても風邪にかかる(ウイルスに感染する)割合は、ほとんど変わらない、という結果となりました。。
なぜこうなったのか色々なこと考えられますが、一説によると「ヨードの殺菌力で口やのどの常在菌がやられてしまい、ウイルスに感染しやすくなってしまった」ということらしいです。
ヨード系うがい薬は本当に効かないのか?
今度は2007年に同じような実験をした論文がありました。
この論文は、うがいの代わりにゼリーを嚥下することで、うがいと同等の効果が得られるか調べたものですが、比較対象としてヨード系のうがい薬(イソジン)でのうがいがあります。
愛知県内の高齢者378人を対象に、一年間行った実験では、
- 水道水でうがい→18.4%が風邪をひいた
- ヨード系のうがい薬(イソジン)でうがい→14.3%が風邪をひいた
- うがいなし→30.1%が風邪をひいた
ヨード系のうがい薬のほうが水道水よりも効果があるという結果になりました。
うがいのやり過ぎは逆効果!?
この結果について、他の論文では、うがいの時間について論及しています。
というのも、ヨード系が効果がないというの実験結果のうがいの時間は15秒×3回の45秒間となっています。
45秒間もうがいをするなんてそうそうないですよね。
うがいをし過ぎると口やのどの常在菌まで殺してしまうが、15秒間程度であれば、常在菌を守りつつウイルス感染を防ぐ事ができる。という事らしいです(注意:これについても諸説あります)。
まとめ
過ぎたるは及ばざるがごとし。うがい薬でのうがいは適度にやりましょう。
また、のどからのウイルス感染予防には水でうがいをするだけでも充分効果があります。
参考文献
鈴木 剛ら:感冒予防に対するゼリー嚥下の効果、日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌、19 巻 3 号 p. 265-269、2009年
富田 勉 ,菊池 賢: 消毒剤を含有する市販ハンドソープ及びうがい剤製品の殺菌ウイルス不活化作用、感染症学会誌、92 巻 5 号 p. 670-677、2018年