現代人は昔の人に比べて、柔らかいものばかり食べているので歯並びが悪くなった。
とよく言われています。
はたしてこの説は本当なのか気になったので、文献を調べてみました。
弥生時代の小児の3人に1人は噛み合わせが悪かった!?
『西日本出土の弥生時代小児骨にみられる不正咬合と歯科疾患』という論文があります。
この論文によると、弥生時代の小児(3~12歳くらい)の骨13体を調べた結果
- 正常咬合 8例, 61.5%
- 反対咬合 3例, 23.1%
- 叢生(そうせい) 2例, 15.4%
だったそうです。
弥生時代でも歯並びの悪い子供は珍しくなかった事がわかります。
しかし、現代では反対咬合は10%、叢生はおよそ30〜40%と言われています。
反対咬合(いわゆる受け口)は減りましたが、叢生は増えています。
叢生が増えた理由
叢生が増えた理由は、食物の変化が大きいです。
弥生時代の食事は、現代と比べると遥かに硬いものが多く、噛む回数と噛む力が必要になってきます。
硬い物を食べても顎が大きくなる事はありませんが、奥歯は噛む力によって外側に向いてきます。
現代人の歯(奥歯)は多少、舌側に傾斜して生えています。
しかし、縄文時代の人骨を調べたデータによると、現代人より奥歯が垂直に立っている事がわかりました。
奥歯が垂直だとその分、前歯が並ぶスペースが広くなるので、叢生になる事が少なくなります。
その結果、現代よりも叢生が少ないと言われています。
まとめ
弥生時代でも歯並びが悪い人は存在した。
叢生が増えたのは、顎が小さくなったのではなく、食物の変化によって奥歯の生えている角度が変化したため。