大きな虫歯や、神経を取った歯が再び痛くなり、根の治療になってしまうことがあります。
根の治療は何回も歯科医院に通わなくてはならないので、途中で嫌気がさしてしまうこともあると思います。
今回は、なぜ根の治療は回数がかかるのか説明します!
理由1、根の形が複雑だから
こちらの画像は、歯の根に色をつけたものです。
特に奥歯の根は複雑に分岐しています。
菌は根の細い部分よりもさらに小さいので、色の着いたところ全てに菌がいるのです。
これらを一度に殺菌するのは難しく、根の中を削って広げて、殺菌作用のある薬をつけて何日も浸透させて… という治療を何度も繰り返すしかありません。
理由2、根の先に膿が溜まっている
根の先に膿がたまっていると、いくら根の中をキレイにしても下から菌を沢山含む膿が出てきます。
通常の根の治療では、根よりも先まで器具を入れたり、薬を付ける事は原則しません。
これは根の先には歯槽骨があるので、ヘタに刺激すると骨髄炎になってしまう可能性があるからです。
根の先に膿が溜まっている場合は根に薬をつけつつ、膿が自然に排出されるのを待つしかありません。
どうしても根の治療だけで治らない場合は、歯肉を切って骨を削り、膿の袋を取り除く手術をする事もあります。
理由3、根の中を完全に滅菌する事は不可能だから
根の中に入ってしまった菌を0にするのは不可能、というデータがあります。
これは根が複雑に分岐していたり、根の壁は無数の小さな穴(象牙細管)があるので、その中に菌が入り込んでしまうためです。
ではなぜ治るのか…?
未だによく分かっていません。
身体には免疫があるので、菌が少なくなり安定した状態になれば免疫の力で抑えて治る、という説が今のところ有力です。
体調の悪い時に、昔に歯の治療をした所が疼くのは、このためだと思います。
理由4、治療法がまだ発展途上
根の治療方法は今も進化しています。
以前は根につける薬はホルマリン,クレゾールといったものが主流でした。
しかし、毒性が問題視され、今では使われなくなってきてます。
現在では、体に優しい水酸化カルシウムという強アルカリ性の薬剤をつけて殺菌する方法が増えてます。
しかし、膿が大量に出ていると水酸化カルシウムのアルカリ性が中和されてしまい効果が激減してしまうので、完全な薬とは言えません。
薬以外にも、マイクロスコープという顕微鏡を使えば細い根まで目視で治療可能ですが、治療時間がかかるのと保険ではコスト的に難しいので、メジャーな治療方法ではありません。
マイクロスコープをつかっても象牙細管までキレイにするのは不可能です。
今後、新たな治療方法ができれば、治療回数や期間が短くなるはずです。
まとめ
根に入った菌をできる限り減らすためには、何度も削って薬をつける方法が一般的です。