顎の成長を歪める⁉ 子供の”偏咀嚼”が引き起こす問題

小児歯科

偏咀嚼(へんそしゃく)という言葉を知ってますか?

食事の時に、右(左)側の歯だけを使って噛むなど、偏った噛み方を日常的にしてしまう事で、特に成長期の子供の場合は顎(あご)の成長に影響がでてしまうのです。

偏咀嚼の子供の特徴

お子様の歯や食事の様子を見て、以下のような特徴があれば偏咀嚼している可能性が高いです。

・食事の時に片側だけで噛んでいる

・食事の時に左右どちらかを向いて食べている。

・頬の膨らみが左右で異なる

・上の歯と下の歯の中心がズレている。




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左上の画像をご覧下さい。

少々分かりづらいですが、上の前歯に比べて、下の前歯の中心が右側にズレています。

上の前歯と下の前歯の中心が揃っていないと偏咀嚼である可能性が高いと言えます。

偏咀嚼の原因

偏咀嚼になってしまう原因は色々あります。生まれてからの時系列的に挙げていくと、

  • 乳児期の母乳の与え方(右または左側だけで授乳する)
  • 中心ではなく右または左側からの おしゃぶり,指しゃぶり
  • 常に同じ向きでの うつ伏せ寝、横寝
  • 乳歯の生え方に左右差がある
  • 虫歯や炎症で片側だけでしか噛めない
  • 乳歯が片側だけ抜けた(欠けた)
  • 歯が生まれつき欠如している
  • 食事の時に左右のどちらかを見て食べる
  • 姿勢が左右に偏っている
  • 頬杖などの癖

があります。

偏咀嚼の影響

噛む力は 3歳で15 kg、5歳で20kgほどあります。それだけの力が偏って顎にかかってしまうと、顎の成長が阻害されてしまいます。

常に噛んでいる方の顎は短くなってしまい、顎が曲がって顔全体にゆがみが出てしまうのです。

その後も偏咀嚼を続けると、大人になってから顎関節症になったり、歯が片側だけ削れて痛んだりしみたりする原因になります。

偏咀嚼の治療

まずは、虫歯があれば治します。そして食事の姿勢を整え、両側を使って噛むように訓練します。

普段あまり噛まない方だけでガムを噛む訓練方法もあります。

顎が小さくて、歯並びが悪くなってしまっている時には、顎を広げる装置を使用する場合があります。

まとめ

子供の時の癖で顎の骨格を歪めてしまうと、大人になってから悪影響が出てきます。

早めに気付き、成長期のうちに改善していくことで、治すことができます。

参考文献: 河井 聡 :小児の正中のずれの 原因となる偏咀嚼への対応 日歯雑誌 p43-51 2019 より

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