乳幼児が虫歯になってしまう原因とは? ①

小児歯科

1歳半と3歳で行う健診には歯科健診があります。

最近では虫歯の子は少なく、親御さん達が虫歯予防に気を使っている事が伺えます。

虫歯は生活習慣によってかかりやすくなってしまうため、乳幼児の生活習慣に気をつける事が虫歯の予防になります。

はたしてどのような習慣が虫歯を作るのか、岩手県で生活習慣と虫歯について調査した論文があるので、見ていきましょう。

1歳6ヶ月の子供の生活習慣と1年後に虫歯になっている確率

下の図は1歳6ヶ月の時点のアンケートと1年後(2歳6ヶ月)になった時にどれだけ虫歯になってしまったのかを調べたものです。

阿部晶子:2歳6ヶ月児のう蝕発病と関連要因の追跡調査 より

上から1つ1つ見ていきましょう。

日中の主な養育者

  • 日中の主な養育者が母親…20.8%の子が虫歯になった
  • 日中の主な養育者が母親以外…21.3%の子が虫歯になった

これは昼間に母親が子供の面倒を見ているのか、祖父母や保育園等に預けているのかのアンケートです。

よく祖父母や保育園に預けると虫歯ができやすい、との意見もありますが、この調査では主な養育者が母親かどうかで虫歯のなりやすさに差はほぼありません

1歳6か月で母乳またはミルクを飲んでいる

  • 母乳またはミルクを飲んでいる…23.3%の子が虫歯になった
  • 母乳またはミルクを飲んでいない…19.5%の子が虫歯になった

断乳卒乳に関しては1歳前後で行わせる親が多いそうです。

母乳やミルクにはカルシウムが含まれており、虫歯を誘発するものではありません。

ネットなどの情報では、「母乳(ミルク)は虫歯になりやすい」と書いてあるものも見かけますが、この調査結果では1歳半で母乳(ミルク)を飲んでいるからと言って虫歯のリスクになる事は無いと考えられます。

夜間にミルクや母乳を飲んでいる

  • 夜間にミルクや母乳を飲んでいる…29.4%の子が虫歯になった
  • 夜間にミルクや母乳を飲んでいない…18.5%の子が虫歯になった

夜間のミルクや授乳は虫歯になりやすいと思われがちですが、参考になる人数が少ないため、あまり正確なデータではありません

特に、飲んでいない子は5人しかいないため、たった1人虫歯があるかどうかでかなりパーセンテージが変わります。

私の考えでは、夜間のミルク(授乳)の有無は虫歯に影響無いと思います。

哺乳瓶で含糖飲料(ジュース等)を飲んでいる

  • 哺乳瓶で含糖飲料(ジュース等)を飲んでいる…83.3%の子が虫歯になった
  • 哺乳瓶で含糖飲料(ジュース等)を飲んでいない…15.4%の子が虫歯になった

哺乳瓶はストローより1口で飲む量が少ないため、時間をかけて飲む事になりジュースが長く口の中に留まるため、虫歯になりやすくなります。

ジュースのほとんどが酸性なので、酸と糖分のダブルパンチで虫歯を作ってしまいます。

虫歯のリスクから考えると、止めさせた方がいい習慣です。

次回へ続く

参考文献 、阿部晶子:2歳6ヶ月児のう蝕発病と関連要因の追跡調査 ,口腔衛生会誌 54,17-27,2004

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